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02
2004

太陽と発狂

CATEGORYBerryz

いつからか嫌いになってしまったオール・スタンディングの会場の後ろの方。
ちょんまげにサイリウムを巻いた男がやたらと「マーサ、マーサ」うるさく
て、気後れして彼女の名前を叫べなかったのだけど、その内男は群衆をする
りとくぐり抜け、前のブロックへと移動していった。

「ファイティングポーズはダテじゃない」の萌えグルーヴと言ったら!!!
早くうちのスピーカーで大音量で鳴らしたい。ダテじゃない萌えグルーヴは
PVになってさらに僕を翻弄するはずだ。翻弄と言うよりか、それは僕を遠回
しに死の方向へ導くものかもしれない。でも、そんな幸せな死は無いだろう。



会場に立たされっ放しの状態から急転し、握手へと速足で急ぐ行列。曲がり
角の向こうに、キラキラしたBerryz達の姿が突然現れる。しみハムの「あり
がとうございます!」という切実な声と、汗が光る真剣な横顔。行列に続き、
僕はどんどんそれに近づいていく。

少女たちの真剣な瞳に目を逸らしそうになる。逸らしていないつもりでも、
僕はいつの間にか目を逸らしている。マーサの名を呼び、その後に言葉を続
けることができないまま桃子への握手へと移る。僕が見た完璧な風景の中心
に桃子は立っていた。彼女とも目を合わせることはできない。僕は個人的な
思い出に桃子を引きずり込んでいる。彼女が僕に微笑んでくれることなんて、
僕の物語ではありえなくて、でも、だけど、現実の彼女は僕に微笑んでくれた。





外に出るとヲタはキショい笑顔で、みんな興奮していて。
僕はいつものように記憶を反芻しようとだけしていて。その内トチ狂って何
人かの人に電話をかけて。今日一日の中で一番非現実的だったその一瞬のこ
とを、僕はいつまでも理解できなくて。それがもどかしくて。

マーサと握手をしたのに。
特別な何かを感じる彼女と握手をしたのに。だけど何かが通じ合ったような
気がしない。僕は不安を覚える。

でも、マーサ以外の女の子が僕に与えてくれた心象は、お台場海浜公園へ続
くテレポートブリッジの中で美しくクロスしあって。…実は、いろいろ個人
的に思うところあって完璧にクロスしたとは言えないんだけど、でも、僕は
僕の感情をその帰り道でポジティブに終えない訳にはいかなかった。だって、
だって、その瞬間、僕は本当にハッピーだったんだから。





帰り道、みんなと別れてアナ・マリア&マウリシオの"Le Le Le"を聴く。
その時「世界で一番好きな曲は?」と聞かれたら、僕はこの曲を間違いなく
答えたかも知れない。僕は、今日のBerryzとの出会いの前に、この曲を繰り
返し聴き続けていた。気取らないユニゾンに、ご機嫌すぎるベースラインが
うねっている。ホーンの入り方も、ピアノのなぜか異常な洒落具合も、メロ
ディーも、詞も(レ、レ、レ♪のみ)、全てが最高の曲だ。

僕の記憶はそのグルーヴとともに再構築される。
あの萌えグルーヴはダテじゃない。本当にダテじゃないと思う。





みやびちゃんは過去と未来の、未来に行きたいと言った。
16歳の自分を知りたいと言った。16歳なんてろくでもないものだと知りなが
ら、僕はちょっとそこに戻ってみたいと思う。そして、あの子達と同じ瞬間
に育つ感覚を味わってみたいと思う。
マーサは多分僕から一番遠い席で、クラスの中心の奴らからちょっかいを出
されながら、マイペースを貫いているに違いない。そして僕はマーサに思い
を告げられずに終わるに違いない。その時に出来なかったことは、多分いつ
になっても出来はしない。

でも、それと同じようにマーサの美点はいつになっても変わりはしないのだ
と思う。その美点に、僕は、僕の血の記憶において触れたことが一度も無い
のだと思う。だから僕はこんなにも意味不明にマーサに惹かれるのかもしれない。

そして僕はいつものように、他のBerryzメンバーにもまた少なからぬ感情を
抱いてしまった訳で…。





ずっと感じていたことを、仲間達にぶちまけてしまう。
道筋も、曲がり角も滅茶苦茶の話だ。だけど、僕はこんなことをぶちまけら
れるのはその仲間達だけだと思っていて、僕はやってしまった。
そして、結果的には、その会話の中で「ずっと感じていたこと」に対しての
有効な意味を少しでも掴み取れたような気がする。


多分、冷酷になることや、矛盾を抱えることもきっと一つの強さなのだ。
それを抱えることは簡単なことではないけれど、少なくとも僕はそのような
自分の性質を認めなければならない。僕のとんでもなくいい加減な性質を。


恋は不意に現れ、不意に消えていく。


今僕の部屋に流れているのは「東京ブロンクス」で、僕はよっすぃーのこと
を考えている。リアルと妄想の曖昧な境界線の中で、僕は誰かを愛し続ける。
それが幸せで、それが希望を与えてくれることだけが重要なのかも。

かと思うとアナ・マリア&マウリシオの"Madarena"が流れ出し、また僕はマー
サのことを思い出す。イヴァン・リンスの悲しいメロディーは僕の矛盾を全
て抱えて運び去る。マーサが、Berryzが愛しくて愛しくてたまらない。全員
を抱きしめてどこかに連れ去ってしまいたくなる。


多分、僕が死ぬ時には理屈よりも、この圧倒的な感覚が残るだろう。
あの完璧な風景が。

桃子はまるで太陽のように陣形の中心に居た。
好きだ、好きだ、好きだ。あの子達が好きなんだ。みんな、好きなんだ。