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09
2003

It doesn't matter anymore

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こないだミュージカルで5万振り込んだばっかりだっつうのに、
どうやって21日までに36500円用意しろってんだ?
はぁ~また借金か…。また借金するしか無いのか…。

もう借金に借金を重ねる生活は疲れた。
やっぱり日雇い労働の身に付いた身体には現金払いが一番だよ…。
最近は日雇いをしつつ、違うバイトもしつつ、もう一つまた違う
仕事をしつつ…という生活パターンが続いている。結構忙しい。
忙しいと言うよりかかは、不規則と言うべきか…。そして、金は
いっこうに貯まらない(現在所持金5000円、借金が17~18万円)
これじゃあ大阪(爆音)に行っても何もできない…。
給料日は25日。大阪は19日…。そして、コンサートの振り込み
期限は21日。そんな金は無いぞ。どうしよう。



「あ、ネットランナーですけど。あんたのページ紹介したんだけど、
 掲載紙いる?いるならメールしろや。送っからよ、じゃあな!」
というメールが来たので、一応住所を書いて返信しておいた。

今日届いた冊子を見ると、単に「はてなアンテナランキング」の
コーナーの22位に「今日はなんだか」と小さく紹介されているだけ
だった。何だよこれだけかよ!…って言うか、こんなにアクセスある
とは思ってなかった。転送URL使い出してから、アクセス解析使えな
くなっちゃったもんで、全然アクセス数とか分からなかったんですけ
ど、そんなに沢山の人が読んでくれてたとは…。どうも有り難うございます!

…等と言っても別に普段より面白いことが書ける訳でもなく、いつも
のように、くだらない妄想をぶちまけるだけの日記な訳だが…。



夜中に酒を買いに外に出ると、妙に昔の感覚が甦る。
3年前、4年前の感覚が甦る。恋人が居た時のような感覚になる。

何故なのかは分からないけど、あまり寂しくもない。
家に帰ったら恋人が居るような。そのまま酒を飲んで、いい気持ちに
なるような。何故か、そんな予感的な妄想が湧いてくる。もちろん、
そんなことがある訳無いのは分かっているけど、何故か幸せな気分に
なったりする。





真里のアパートの階段。
音を立てないように昇り、そっとインターフォンを押す。
かちゃり、とドアが狭く、開く。

僕はビールの缶をぶつけないように部屋に滑り込む。
真里が静かに鍵を閉め、僕は緊張から解放される。
この間のどんちゃん騒ぎで苦情が来たばっかりだったのだ。
「…風呂入ってたの?」「うん」
真里はタオルを首にかけ、髪を押さえて乾かしている。

パジャマ姿の真里を後目に、僕は冷蔵庫内にビールを整理し始める。
真里は、コンポの電源を入れる。CDを読み込む音が聞こえる。
一秒後、聴こえてきたのはジーン・ケリーの「雨に唄えば」だった。
「図書館?」「うん」

僕はそれを聴いて、やっぱり「時計仕掛けのオレンジ」を思い出した。
そういえば真里とあの映画を観た時はあったっけ…。
いや、恋人と一緒に観る映画でもないけど。
「これってオリジナルのサントラ?」
「うーん、わかんないけど…。でも、良くない?」

良かった。
4月の夜の雨に、そのアルバムはぴったりと似合っていた。
僕らは「じゃ、」と言ってお互いのアルミ缶同士をぶつけ、今月三回目だ
かのその非情緒的な音響を耳にした。

僕らはいつものようにまず、お互いの仕事の話をした。
お互い、人間関係や、会社の方針について疑問に思っていることを言った。
それは多分、社会人である人の誰が聞いても疑問に思うことで、僕らは
お互いに同情し、憤慨した。僕らは恋人であると同時に、同僚のような
関係でもあった。お互いの視座から、その問題に対しての意見を交換した。
おそらく、世界の何処かで、毎日のように繰り返されているその行為は、
僕らにしては新鮮なことだった。
僕らは、たったつい最近まで、職というものを持っていなかったから。





僕らは二人とも、酒が好きだった。
酒と音楽が、身体に染みこんでいくのを感じるのが好きだった。

それまでの、非生産的な日常の中で飲む酒も良かったが、張りつめた神経を
緩めてくれる酒も良かった。その時の酒は、その時の二人にとって、多分、
一番心地良いものだった。





アルバムの再生が終わると、それぞれの好きなものをかけた。
僕らは二人で会う時には、ジャズ、ジャズ・ヴォーカルを好んで聴いた。
僕はジャズのことなんて良く分からなかったけど、真里よりはジャズのレコー
ドを沢山持っていた。僕は、その時に聴きたいものを、何も考えずにかけてい
ただけなのだけど、真里は学生時代楽器をやっていて、その楽曲のフレーズや、
リズムを、その優れた部分を僕に解説してくれた。
でも、僕が一番好きだったのは、真里がその曲のメロディーをなぞる時だった。

真里の声は、良く通った。
素直で、とても良く通る声だった。いつも隣の部屋からの苦情を恐れての、抑え
た声だったけど、僕はそれを美しいと思った。
できることなら、いつまでも僕はそれを聴いていたかった。

僕はいつも耐えきれずに、真里と一緒にそのメロディーをなぞった。
真里の声とハーモニーが取れると、僕の声までが生命感を持ったかのように聴こえた。
メロディーは大体、悲しさや、恋を辿った。僕らは時々目を合わせて、それを確認した。





時が過ぎるに連れ、僕らの距離は縮まっていく。
真里の声が耳の近くに聞こえ、髪の匂いがすぐそこに感じられる。
求めていた温もりは、真里は、確かにそこに在る。

僕は、真里を抱きしめる。
そして、重力と共にそこに倒れる。
真里と静かに唇を合わせる。
真里と僕の眼は、お互いを微かに確認し、その一日の役目を終える。


その時に流れている音楽は、僕にはもう聴こえていない。