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23
2002

Pennylane

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まったく、いつからこんなに服に気を使わないようになっちまったんだろう。
ショーウィンドウに映る自分の凶悪な顔を見る度にそう思う。

事務所で着替えるのが面倒、と言う理由で朝から作業着を着て家を出る。
靴はアメ横で買った1000円のどうなってもいい安物。髪はボサボサ。髭も
チョロチョロとみっともない。バッグもとにかく物が多く入ればいいと思っ
て買った、500円の酷くくたびれたショルダー(フリマ)。

…最悪。とにかく最悪だ。
こんな人間、加護ちゃんに会えたとしても嫌われるだけだ絶対。
来年はそういうとこから直して行きたい。真人間になる!俺は真人間になるんだァッ…!!!

そうだ。実は俺は今年も一歩だけ真人間に近づけたのだ。
パチンコを止められたのだ。もう仕事が早く終わっても足がパチ屋に向かう
事はない。「今までの負け分を取り返してやるぞぉ~!!」とも思わない。
これだけでも自分の中ではかなり凄い事で、あの泥沼から抜け出せたのは
本当に奇跡に近いと思う。…いや、あの頃から考えるとだけど。

パチンコをやっている時、色々な事を考えた。
あの日本で一番煙たい空間の中(僕は煙草を吸わない)、なけなしの金を注ぎ
込みながら、「あ~、俺一生パチンコやめられねーんだろーなー」と、本気
で思っていた。なんていうか、実験用のネズミみたいにいつまでも輪の中を
くるくる走らされているような感覚。抜け出せない感覚。
あの地獄から抜け出せた事を考えれば、何でも出来るような気がする。
抜け出せたっていうか、ただ環境が変わったからだって気もするけど…。

でも今は、パチンコするより好きなもの食べたり聴きたいCD買った方がいいや
って感覚になった。昔、そういう感覚に自分は近づきたいと思っていたし、そう
いう意味で少しは成長したのかも知れない。少なくとも、自分の中でそう納得できる。
まあ、自分の中で納得できれば万事OKなんで。…まあ、それは良いことの一つで。で、やっぱり悪い事の方が多い。

やっぱり後になってからボディーブローみたいに効いてくると言うか、何と言うか。
4年間、二人で酒ばかり飲んで酔っぱらって、眠くなったら一緒に寝て…と言う生活
だったから、飲みとかオフが終わった後、家に帰って床に着いて「……」のような
沈黙の時間が一番辛かった。独り言を言ったり、かかる筈のない番号に電話をかけたりした。
昔の会話の断片、記憶が洪水のように溢れて、どうしようもなくなった。
それは、本当に、どうしようもなかった。

全てを話せる人間が居なくなった。
僕は加護ちゃんの事を好きだけど、加護ちゃんに全てを話せない。
………って当たり前の事言ってるな。

今になって思うけど、全てを分かり合ったような気になって、僕がコミュニケーションを
放棄したのがいけなかったんだろう。それは、小さいようで大きなことだったのだろう。
思ったより感覚とか、そういうものは伝わらない。言葉にしないと、伝わらない。

もう帰らないものを追ってもしょうがないけど、何をすればいいのかも判らない。

一度「人」に依存してしまうと、それをいつになったら忘れる事が出来るんだろう。

過去の美化が始まり(楽しい事しか思い出さなくなり)、僕はもう何も考えられない。
昨日みたいに加護ちゃんのことだけを考えている状態も、それはそれで辛い。

一日一日で感情、感覚の移り変わりが激しすぎる。
音楽だけが、その時その時の自分を呼び起こしてくれる。

ケニー・ランキンの"Pennylane"は今年初めて聴いた。
いつか年を取って"Pennylane"聴いた時、何を思い出すんだろう。