FC2ブログ
11
2003

Power flower

CATEGORY未分類

そこはトイレだった。
北欧の方だと思う。どこかの学校の通り道。トンネル。
とても寒くて、僕は用を足そうとするが、次から次へと人が入ってくる。
スキンヘッドのレスリングユニフォームを着た大男が入ってくる。僕は、
小便器から体をどける。彼は僕の存在なんてなかったかのように用を済
まして帰っていく。ちくしょう、いくら出しても出したりない。俺はいつ
までここに居ればいいんだ。

二、三人の女の子も入ってくる。段々僕はここがトイレで無いような気が
してきた。良く見ると、目の前の棚には大量のCDとアンプ、プレーヤー、
スピーカーが並んでいる。ここは俺の家だ。僕は好きな音楽をかけることに
した。僕は聞いたことのない音楽に身を揺らせた。

重ちーが出てくるような予感がしたが、僕は目を覚ました。





夢の中の音楽ってどうしてこう、とらえどころが無いんだろう。
重ちー………いや、それは恋人への呼びかけではない。ああ、俺は彼女の
ことを何て呼べば良いんだろう。面倒くさいから、今すぐ目の前に現れて
「私のことは、・・って呼んでください」って言ってくれないかな。

ヌーヴェル・キュイジーヌの"Power flower"のように、ひたすら甘い。
恋はいつも夢の中からやってくる。いや、恋ではなくてその甘い蜜の中に
身を浸しているだけかも知れない。それを味わっているだけかも知れない。
子供達が舐める飴のように。

でも、その蜜の味がたっぷりと詰まった飴玉を取り上げられたら、僕は
悲しい気持ちになるだろう。いつまでもそれを味わっていたい。しかし、
やがてそれは舌の上で、跡形も無くなってしまう。口の中にはその存在が
移ろった空気が──香りが──ほのかに残っている。

僕はいつまでもそれを思い出している。