絶望
酒を飲んで部屋に帰り、気づくといつも「死にたい」と呟いている。
意識的に死にたいなんて思ったことは余程酷い時以外、殆ど無いのに。
とにかく僕の口からは「死にたい、死にたい」という呪文が無意識の内呟かれる。
僕は絶望しているのかな、と思う。僕が本当に欲しいものは既に失われてしまった
ものだし、その代償にキッズという偶像を用いて妄想しているだけではないかと。
それだけではない。それだけではないけど、それを考えるには僕は少し疲れすぎている。
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意味不明なカバーだらけのハロコンは思った異常に酷いものだったけど、オリジナル
曲にはやっぱり救われた(「新生」ユニットの曲はどれももう忘れてしまった。ピラなん
とかのサッキーの頑張りだけが印象に残った)。
実は、ハローで一番テンションが上がる曲はBerryzでも℃-uteでもなくて、娘。の
「リゾナントブルー」だったりする。発売前にタイトルを聴いた時は、またなんて訴求
しないイメージの湧かないタイトルだろうとがっかりしたものだけど、こんないい意味
で期待を裏切られたことはない。
優れた歌詞というのは、その言葉に聴き手の個人的な状況が自然に重なっていって
しまうようなものだと思うのだけど、僕にとってこの曲は本当に自分そのものだとしか
思えなかった。或いはヲタの、或いは僕の絶望そのものだと。
サウンド面では、僕が今のハローに最も求める要素の一つ「ファンク」が適度に配合
され、適度に現代的なアレンジがなされている。嫌みにならない適度なフェイク。
ざらついたヴォーカル・エフェクト。
「悲しみがこだまする~」から僕の絶望の火は燃えさかり、「助けて誰か」で爆発する。
僕は狂ったように踊る。この曲でしか解放できない絶望の感情を解き放つ。「信じたい」
だとか「独りの朝」だとか、歌詞の中に散りばめられた一つ一つの言葉が、胸の奥深く
に沈んでいた記憶と感情を呼び起こす。
僕は℃-uteやBerryzにこういう歌を歌って欲しいとは思わないけど、この曲は娘。だから
こそ歌えるのだと思う。
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彼女達にも絶望はあるのだろうか。
それはきっと、僕には理解できない種類の絶望だと思う。僕らは、お互いの絶望さえ混じり
合うことはない。
でもただ、この歌の流れる瞬間にだけそれは混じり合う。
僕らは平等に慟哭する。
- リゾナント ブルー
- アーチスト: モーニング娘。
- レーベル: ZETIMA
- 価格: ¥ 1,050
- 売上ランキング: 31968
テーマ : ハロー!プロジェクト ジャンル : アイドル・芸能