Last Tango In Paris

今日はずっとこの曲ばかり聴いていた。
川上つよし&ムードメイカーズの演奏。どこかで聴いたはずの官能的な演奏。
舞美さんは僕の名前を覚えていなかった。自分が名づけた筈の名も、僕が名乗った
筈の名も。舞美さんはとても申し訳なさそうな表情をし、僕は本名を名乗った。
2回目の握手でまた僕は自分の名を聞いてみた。しかしそれでも舞美さんは僕の名
を答えられなかった。
まいまいが一度の握手で覚えられる名前を舞美さんは覚えられない。
でも僕は、改めて思った。そんな舞美さんのことが大好きだと。
ねえ舞美さん、4年前この場所で握手したことを覚えているかい?
僕はあれからキッズのことが大好きになって、今ここにいるんだ。そして舞美さん
のことが一番好きになったんだ。舞美さんのことが一番好きだとわかったんだ。
僕は今度、大阪で君と一緒に写真を撮るんだ。
僕と舞美さん以外誰も映っていない写真なんだ。
その写真を撮った後、僕はきっと、今の僕ではない僕になっているだろう。
なんでかって、それは予感なんだ。何の根拠もない、でも僕にとって絶対の予感なんだ。
僕の墓場は舞美さんなんだ。
"Last Tango In Paris"に通底する退廃と死の香りは、舞美さんの妄想を伴ってどうしよう
もなく僕を狂わせる。僕はどこまでもどこまでも舞美さんに敗北するしかないんだ。
僕はその甘美な敗北をいつまで味わえるだろう。いつまで舞美さんと一緒にいれる
だろう。
- Fuego
- アーチスト: Mongo Santamaria
- レーベル: Fania Special
- 価格: ¥ 1,516