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11
2002

地を這う者に翼はいらぬ

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加護ちゃんと辻ちゃんが、モニタに映る歌詞を追いながら歌を歌っている。
カラオケ屋に居る訳ではない。それは僕の祖母の家だった。
「縁の下」や「掘り炬燵」があるような、とても古い、古い家だ。
僕は、加護ちゃんと辻ちゃんが歌っている曲が何なのか思い出そうとしたが、
どうしても思い出せなかった。どこかの民謡のような、または誰かが民謡風
に巧妙に作ったような、奇妙な歌だった。

加護ちゃんは上手く歌えているのだけど、辻ちゃんはいつも同じ所で調子を
外してしまう。僕は加護ちゃんに、子供のようにしがみつきながらそれを
見ている。加護ちゃんは、僕に気づいているのかいないのか、ずっと同じ
調子で歌い続けている。・・僕は、あと何年加護ちゃんと一緒にいられるのだろう。

そう思った瞬間、胸が痛くなって、ふうっと目が覚めた。

加護ちゃん・・・・。





明晰夢に関するレポート等を見ていると、僕なんかは「毎晩加護ちゃんの夢
見れるんなら、なんでもしまっせ!」と、どんな怪しい研究者にでもついて
いってしまいそうな気がする。そして毎晩のように大量に薬物を投与され、廃人に。

・・でも、眠りから覚めて「あー、この夢面白れーなー、また見てーなー」と
思いながら再び眠りにつくと、本当に続きが見られたりとか、そういう経験は
僕にも何度もある。もっと集中すれば、僕も毎晩加護ちゃんと会えるように
なるのかも知れない。もしくはよっすぃーと。ごっちんと。まりっぺと。
梨華ちゃんと(以下エンドレス)。

「ほんとに優しい恋人は 夢の世界に隠れてる」と歌ったのはドリフターズだが(
ドリフのバイのバイのバイ)、強ちそれは間違いでも無いと思う。僕みたいな
自分勝手の塊のような人間は、いつかは誰にだって呆れられるに決まっているのだ。
加護ちゃんもよっすぃーも僕の元を去っていくのだ。そして何年後かに、彼女達の
夢を見て、今日みたいなどうしようもない日記を書いたりするのだろう。



自分勝手と言えば。
僕には「将来は圭織のヒモになって暮らしたい」と堂々宣言している友達がいるが、
僕は彼の気持ちが分からないでもない。僕も圭織と一緒に、ぐちゃぐちゃになって
しまいたいと思う時があるのだ。酒に溺れ、二人でどうしようもない生活をしたい。

同棲生活をしたいのはよっすぃーも同じなのだが、彼女は眩しすぎて、そういう
世界に連れ込むのは僕には気が引ける。圭織には、それと違った暗い影を感じるのだ。

その影に僕らは足を取られ、身動きができなくなってしまう。
みんなはどんどん先に行ってしまう。僕らはいつまでも同じ所で堂々巡りを繰り返す。

・・・本当はそんな所から今すぐにでも抜け出したいのだけど。

好きな人をそういう場所に巻き込みたいと言うのは、悪意なのだろうか。

それとも僕は圭織のことがあまり好きではないのだろうか。


僕には分からない。





 (2002/3/12 1:19 鬱。)