ブレインを抱いて

夢の中で、僕はある女性と抱き合っていた。
30代後半の女性だった。彼女は「ブレインを抱いて」と言った。
僕は彼女の頭を抱え、その皮膚を、頭蓋骨を意識した。
彼女に触れている内に、彼女は舞美さんになった。
脱皮したみたいに、おでこの色だけが少し違う。脱皮した舞美
さんは魚みたいにぴちぴちと瑞々しかった。舞美さんは、僕が
舞美さんを求めていたことを全て知っているようだった。そして
奇妙なかたちを取って僕の前に現れた。僕と舞美さんは磁石の
ように吸い付いた。
夢の中では全てが自然な出来事に思えた。
□
起きてヌーヴェル・キュイジュンを再生する。
目を閉じて夢を思い出していると、あっという間に時間が過ぎていく。
僕の無意識と舞美さんの無意識を想像する。
□
早めにめくってしまった5月のカレンダーには、不器用な表情で
映る舞美さんがいる。
…舞美さんの夢に俺、一瞬でも出てきたりしてないかな…。