俺と明日菜の恋物語 第一章

それはあの素晴らしい℃-ute初コンの夜のことだった。
「まっさら~」で普段の一日の5000倍ほど肉体を動かした僕は、とても
喉が渇いて、自動販売機へと向かったのさ。ライブ会場にありがちな
スポーツドリンク売り切れを危惧しつつ、向かったのさ。自動販売機の
方から運命さんが10キロくらい太ったようなヲタがスポーツドリンク片
手にこちらに向かってくるのが見えたので、売り切れてないかも!と
僕は速足で向かったのさ。
まだ息を切らせながら僕は左側の販売機に150円を入れた。
でもなんだ、よく見るとスポーツドリンクがないじゃないか。右側の販
売機を見ると、おっ、180円のビタミンウォーターが見えた。僕は右側へ
移り、180円を入れたのさ。すると、左側の自販機前に子供二人がやって
来た。お姉さんと弟のようだ。見たところ小学校低学年。現場でよく見る
親子連れの女の子かな?と思ったが、どうも身長が大きすぎるような気が
する。ちょっと顔をよく見ると………
ものすごく可愛い!!!!!!!!
ここで僕の記憶の沼から「あ……す……な……」という三音が浮かび上が
ってきたのである。げぇーーーーッッッッオカールの妹君ですかぁーーー
ーーーーーッッッッでも勘違いじゃない?俺、日常で何回か人違いしちゃ
ったことあるし。僕はビタミンウォーターのボタンを押しながらちょっと
した混乱状態に陥っていた。しかし、それを打ち破ったのは弟の一言だっ
た。「……じゃん、あすな」
うわーーーーーうわーーーーーオカールの妹だぁーーーーッッッッ!!!!
ミーハー体質100%の僕は「明日菜ちゃん?」と声をかけた。彼女は不審そう
に僕を見上げて黙っていた。聞こえなかったのかな?ともう一度問いかける
と彼女は頷いた。ミーハー体質がその場で250%に上昇した僕は彼女に「握手
してください!」と言った。………が、無視された。
うっ…俺不審者に思われて怯えられてるかも…と初めて気づいた(℃-uteヘッ
ド、29歳独身)。明日菜ちゃんは僕を不審がりながら自動販売機に1000円を
投入しようとしていた。が、機械の調子が悪いのかなかなか入らない。「お、
俺の1000円なら×☆○~~!(何を言ったのか良くおぼえていない)」僕は震
える手で1000円を取り出していた。しかし、運の悪いことに僕の札もなかなか
機械を通らない。明日菜ちゃんは「い、いいです」と言った。待ってくれ、
待ってくれ明日菜ちゃん!!!!俺は不審者じゃない!!!明日菜ちゃんを
誘拐しようとなんてしていない!!!!俺は明日菜ちゃんの役に立ちたいだけ
なんだ!!!!!
必死で小銭ポケットを開けると、そこにおわすは世紀末救世主伝説500円玉様!
!!!!チャリン、と小気味良い音がして500円玉様は販売機の中へと吸い込ま
れていった。そして、僕は自分の持てる全ての演技力を動員し、紳士的に振る
舞いながらこう言った。「好きなものをどうぞ」俺は紳士!!!俺は紳士!!!
俺は不審者じゃない!!!!
「あ、ありがとうございます」「ありがとうございます」
この世に遣わされた天使、岡井明日菜様とその弟君の口から僕のような下賎のも
のに感謝の言葉が発せられた!!!ああ、ああ、有難き幸せ!!!たたでさえ
℃-uteライブに感動しているのに、僕はそのまま天空へ舞い上がってしまいそう
な気持ちになった。しかし、握手厨という名の僕の中の悪魔がまた囁いた。「握
手してください」
明日菜お姫様はその神々しい御手手を僕に差し出してくれた。
おおおおおおおおおYES!!!!しあわせ!!!!明日菜お姫様はまだ僕にほんの
少し不審な眼差しを向けていたが、初めてその笑顔を見せてくれた。まさにどぶ川
を洗浄するようなフェイス・フラーーーーーッシュ!!!!!!僕はその神々しい
光に当てられながら、ヲタに生来備わるという月並みな言葉「応援してます」を発
し、その場をスキップで離れる以外になかった。ああ、明日菜お姫様!!!明日菜
お姫様!!!明日菜お姫様!!!
その後僕は「まいみ/うたか」と相合傘を額に書き(Special Thanks おーみやくん)、
握手し、再び天へと舞い上がったのだった。
第一章 終