舞美さん
舞美さんの美しさは希望であり、絶望でもある。
表裏一体のその絶望の側に居る僕は、舞美さんが眩しくてこっち側に
居る。僕は世界が舞美さんを奪うのを恐れる。舞美さんの純真さが損
なわれることを恐れる。僕は時間が止まることを希望する。止まった
時間の中で舞美さんをずっと見つめていたい。…そんな果てしなく後ろ
向きな精神状態で舞美さんの誕生日を迎えることになってしまった。
気を取り直して、舞美さん、おめでとう。
まいまいもおめでとう。サッキーもおめでとう。僕はしばらくこの廃人状
態が続くかも知れないけど、毎日みんなのことを考えているよ。そして
たまに元気が出た時には、色んな人に会って、話して、自分が何を求
めているのか、何を求めていたのかを少しずつ思い出そうとしている。
今の僕にはもう殆ど何も残っていないけど、涙はまだ流すことができる。
なぜなのか分からないけど、時々涙が出てくるんだ。
僕にはもうキッズしかないんだとつくづく思う。そしてそれを思う時、僕は
いつもより更に深く孤独な場所に居る。もし舞美さんが隣に居たのなら、
僕はその理由を話すことができるかも知れない。
舞美さんの誕生日の朝が始まろうとしている。
そして僕は眠ろうとしている。