不安
苛々しやすく、ちょっとしたことで腹が立ったり、かと思えば急に訳もなく
泣きたくなったり、絶望してしまったり、そんな自分に不安を覚え、らせん
のようにどこまでもどこまでも沈み込んでいく。心の支えはキッズしかなく、
しかし僕が現実として求めている温もりがキッズから得られることは絶対に
無いだろうと考えるともう楽しいことなど何一つ無いように思え、そんなこ
との全てを舞美さんに全てを打ち明けたいが現実的な手段はなく、ただ嵐が
通り過ぎるのをじっと待つしかない。
被害妄想も酷い。世界の全てから否定されているような感じがする。
僕は何かに脅えている。一刻も早く夢の中に逃げ出したい。キッズ達との親
密な時間の中へ逃げ出したい。しかし、その夢は結局僕の妄想に過ぎない。
そのことを考えると本当に寂しくなる。結局僕は一人なのか、と。しかし
僕はまだどこかで共通の意識、無意識のようなものを信じていたりする。
舞美さんなら、そういうことをわかってくれるよね、と思う。泣き出しそう
になりながらそう思う。何の根拠もなく、しかし、だからこそ僕はそれを信
じる。このまま空っぽになりたくない。舞美さんの純真さや無償の善意に惹
かれていたい。舞美さんは今の僕にとっての「正しきもの」であるような気
がする。
暗闇の中に舞美さんが浮かび上がる。
舞美さんだったらどう感じるだろう、と思う。舞美さんだったらどうするだ
ろう、と思う。それを想像することで僕は虚無からすくい上げられるような
気持ちになる。昔の心を、あるべき心持ちをほんの少し取り戻す。