夢から覚めた時の音楽
雅ちゃんにとても良く似た女の子。名前をリョウと言った。
字はどう書くのか分からない。似ているという言葉は適当でなく、僕は彼女の存在その
ものに混乱していた。リョウが雅ちゃんなのか、雅ちゃんがリョウだったのか…。問い
かけようとしても彼女は僕の前で目まぐるしく姿を変え続け、僕は言葉もなくただ混乱
するだけだった。でも、僕は何者かも分からぬその存在にとても強く惹きつけられてい
た。しかし、彼女の魅力に異常なものを感じてもいた。僕がその精神を預けた途端、そ
れはどこかに消えてなくなってしまうような気がした。
その後、世界は反転し、僕は有馬さんと榊原くんと見知らぬレコード屋にいた。
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夢の中まで雅ちゃんへのコンプレックスに満ちている。
起きると0:00で、部屋は寒く、喉が妙にがらがらした。何もする気になれず、いつもの
ように夢の世界を思い出す。借りてきてあまりよく聴いていなかったカル・ジェイダー
の"Plugs in"をかける。寝起きに部屋を暗くしたまま聴きたい音楽は、カル・ジェイダー
しか思いつかなかった。2曲目「Lady Madonna」のカバー。イントロの気だるいベース
の音。異常に洒落ている。問答無用でレート5をつける。
雅ちゃんのことを思い出しながら、1時間後にはレート5や4でそのアルバムが埋まった。
もし雅ちゃんと夜を過ごすならば、僕は間違いなくこのアルバムを選ぶだろう。
僕は、次の夢の雅ちゃんの姿を思い描く。

Cal Tjader "Plugs in"