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20
2005

メモリーバンド

CATEGORYしみハム


iPod Shuffleから流れてくるスティール・パンの音色。
ミュージック・フォー・アストロ・エイジ。

数日前の真夜中。僕はとある中学校の前を横切った。
その時もこの曲が流れていた。僕は何の根拠もなく、その学校に
しみハムが通っていることを想像した。全く、何の根拠もない思
いつきは、スティール・パンの音色と共になぜか急速に真実味を
増していった。それは僕が通っていた中学から500mほど離れた
ところにある中学校だった。卓球部の僕は毎日その中学を見なが
らランニングしていた。僕はそんなことを思い出しながら、妙な
錯覚を覚え始めていた。





僕は中学生だった。
しみハムのことが好きな14歳の中学生だった。そして真夜中に彼
女に会いに来た。しかし、彼女は居なかった。校庭には誰も居な
かった。そして今、僕は校庭に遊ぶしみハムの姿を想像している。

スティール・パンの祝祭的な響きは真夜中の校庭で表情を変える。
僕は想像力を働かせるとともに自分の記憶を辿ってもいる。記憶
と想像の線はきっとどこかでつながるような気がするけれど、僕
はなんだかどうしようもなく胸を締めつけられて、それどころで
は無くなっている。

ただしみハムが校庭で遊んでいることを想像しているだけなのに。
僕は彼女に話しかけることはできない。こうして夜中に彼女のこ
とを想像することしかできない。彼女の記憶に僕は居ない…。





しばらくして僕は現実に戻り、家に帰った。
舞美さんの妄想の家の前を通った。この家も、しみハムの中学校と
同じように、何の根拠もなく僕が舞美さんの家だと想像しているた
だの民家だ。昼間にその建物の前を通ることは無いから、誰が本当
に住んでいるのかを僕が知ることはない。夜だけが僕の狂気と妄想
を優しく許容してくれる。


…もしかするとこの妄想や行動は、僕なりの密かな愛の告白である
のかも知れない。端から見ればただの変人なのだろうけど、ジョギ
ングの途中にそんな妄想に浸ることくらい、しみハムも、舞美さん
も許してくれるだろう…。そうでなければ、僕はもう感情をどこに
も解放することはできない。

言葉にならない領域がまた大きくなっていく。

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