出会って別れる光がはためく間に
うちの近くの新築の家に「矢島」と表札がかかっている。
夜、酒を買いにその家の前を通るだけで、いつも激しく萌えてしまう。
舞美さんが近所に住んでいると想像しただけで、中学生の頃のような気分になる。
俺は舞美さんの家を知っている…。クラスのみんなはきっと知らないだろう。
もし帰りの一本道で会ったら、舞美さんと口を聞くことになるだろう。そこで話が
あえば、毎日一緒に通ったり、一緒に帰ったりできるかも知れない…。いや、帰り
は舞美さんは陸上部に入っているから卓球部の俺とは時間が微妙に合わないんだ…。
しかし、陸上部の男子の奴らは平気だろうか…。僕の舞美のことを変な目で見ては
いないだろうか…?そもそも舞美はいつも誰と一緒に帰っているんだ?知りたいが、
あんな目立つ一本道で待ち伏せる訳にも行かないし……やっぱり朝出発する時間を
5分単位でずらして、偶然を装って登校時間を合わせるしか無いだろうか……いや、
もしそこで邪魔な女と一緒に毎日登校などしていたら俺の入る隙間など無いではな
いか…いや、もし男と一緒に登校してたりしたら、俺はどうすればいいんだ……?
などと妄想しながら、酷い格好で真夜中の街を徘徊する20代後半の男…。
でも、舞美さんは、もし万が一今の僕と出会っても、優しく接してくれるような気
がするんだ……ああ、舞美、舞美さん。舞美さんのことを一旦考え始めると、幸せ
な気持ちがなぜだかとても長く持続する。
あの家に舞美さんが住んでいると思うだけで、なんでこんな幸せな気持ちになるん
だ?舞美さんと登校することを想像するだけで、舞美さんと下校することを想像す
るだけで、舞美さんと隣の席になることを想像するだけで、舞美さんの笑顔を想像
するだけで……。
日ごとに現実は重くのしかかってくるけど、舞美さんのことを考えている時、僕は
あの頃の、中学生のままで。意気地がなくて話しかけられなかったけど、想像する
だけで幸せだった。夜中に叫び出したくなった。そんな青い記憶が、舞美さんの声
で眠りから起こされたみたいに、蓋を開けて急に飛び出してくる。
舞美さん、もうあの頃は絶対に戻ってこないんだ。
でも、僕はもうそのことを前ほど悲しいと思わなくなった。戻ったとしても僕は僕
のままだし、舞美さんが側にいたとしても、こうやって想像することしかできなか
っただろうしね。それでも、やっぱり強く胸が締め付けられる。
舞美さん。舞美さん。ずっと舞美さんのことを想像していたいよ。

夜、酒を買いにその家の前を通るだけで、いつも激しく萌えてしまう。
舞美さんが近所に住んでいると想像しただけで、中学生の頃のような気分になる。
俺は舞美さんの家を知っている…。クラスのみんなはきっと知らないだろう。
もし帰りの一本道で会ったら、舞美さんと口を聞くことになるだろう。そこで話が
あえば、毎日一緒に通ったり、一緒に帰ったりできるかも知れない…。いや、帰り
は舞美さんは陸上部に入っているから卓球部の俺とは時間が微妙に合わないんだ…。
しかし、陸上部の男子の奴らは平気だろうか…。僕の舞美のことを変な目で見ては
いないだろうか…?そもそも舞美はいつも誰と一緒に帰っているんだ?知りたいが、
あんな目立つ一本道で待ち伏せる訳にも行かないし……やっぱり朝出発する時間を
5分単位でずらして、偶然を装って登校時間を合わせるしか無いだろうか……いや、
もしそこで邪魔な女と一緒に毎日登校などしていたら俺の入る隙間など無いではな
いか…いや、もし男と一緒に登校してたりしたら、俺はどうすればいいんだ……?
などと妄想しながら、酷い格好で真夜中の街を徘徊する20代後半の男…。
でも、舞美さんは、もし万が一今の僕と出会っても、優しく接してくれるような気
がするんだ……ああ、舞美、舞美さん。舞美さんのことを一旦考え始めると、幸せ
な気持ちがなぜだかとても長く持続する。
あの家に舞美さんが住んでいると思うだけで、なんでこんな幸せな気持ちになるん
だ?舞美さんと登校することを想像するだけで、舞美さんと下校することを想像す
るだけで、舞美さんと隣の席になることを想像するだけで、舞美さんの笑顔を想像
するだけで……。
日ごとに現実は重くのしかかってくるけど、舞美さんのことを考えている時、僕は
あの頃の、中学生のままで。意気地がなくて話しかけられなかったけど、想像する
だけで幸せだった。夜中に叫び出したくなった。そんな青い記憶が、舞美さんの声
で眠りから起こされたみたいに、蓋を開けて急に飛び出してくる。
舞美さん、もうあの頃は絶対に戻ってこないんだ。
でも、僕はもうそのことを前ほど悲しいと思わなくなった。戻ったとしても僕は僕
のままだし、舞美さんが側にいたとしても、こうやって想像することしかできなか
っただろうしね。それでも、やっぱり強く胸が締め付けられる。
舞美さん。舞美さん。ずっと舞美さんのことを想像していたいよ。
