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13
2005

キッズ・フラワー・ユニオン

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もうそろそろ5時間目の授業が始まると言うのに、僕は校舎内をうろうろ
していた。授業を受けるべきか、どうすべきか…。そんな風に迷っている
間に授業は始まってしまい、しーんとした教室に入っていく勇気など僕に
は無く、教師に遅刻の理由を聞かれるのも嫌だったので、僕は保健室へ
と入り込んだ。ここには教師も居ない。2つ並んだベッドの奥の方へ僕は
寝ころんだ。廊下から顔を見られないように、頭から布団をかぶった。
今行われているだろうつまらない授業のことを考えると、こうして寝てい
る自分がとても自由な気がした。

5時間目の授業が終わり、休み時間になると、僕は教師達に見つからな
いように5組へと入った。5組では図書室と同じようにCDの貸し出しを
している変わった組だ。僕は1枚のCDを手に取った。30人所帯のファン
クバンドで、そのバンドにはジミーさんも参加していた。ジャケットのイン
ナーには、みんなでビールを飲んでいる姿が映っていて、とても楽しそう
だった。僕はその風景を羨ましく思った。ああ、確かこの曲はどこかの有
名なアーティストにサンプリングされた筈だ…。

6時間目の授業が始まりそうだったので、僕はCDを持ってまた保健室へ
と向かった。保健室へ向かう途中、どこかの教室の壁新聞に、「恋の呪縛
」をやたらとほめちぎった記事が大きく載っているのがちらりと見えた。

保健室にはCDを再生できる環境は無かったので、僕はまたはやばやと頭
から布団をかぶった。その内、手前のベッドに誰かが入り込んだようだった
が、心地よい眠気の中でそれはどうでもいいことだった。

6時間目の授業が終わり、僕はジミーさんとの待ち合わせ場所、*組の前へ
と向かった。ジミーさんは、僕が借りたCDを見て、微妙な表情をした。
なぜかと尋ねると、「あんまり良くないから」とジミーさんは言った。僕は、
その曲のラップが面白いと思っていたので、それを伝えた。

帰るためには、教室に鞄を取りに行かなければならない。
掃除中の教室にそっと入り込み、鞄を手に取ると素早く出口へと向かった。
タイミング悪く、出口で鉢合わせたのは担任教師だった。「貴様、5~6時間
目はどうした?」と言うようなことを担任は言った。力強い腕が僕を掴んでい
た。「のどわ」のような状態で、僕はどんどん黒板の方へと押しやられていった。
不思議と恐怖感は感じなかった。僕はただ、解放されることだけを考えていた。

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