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23
2001

・・好きだよ

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「おにいちゃん!加護を捕まえて~~」亜依は唐突に僕の手を離し、走り出した。

「転ぶなよっ、亜依!」僕はビールをこぼさないように、バランスを保って歩いた。
亜依の後ろ姿が、鮮やかな色彩の対比と共に草原の中に吸い込まれていく。

遠くから風に乗って、小さくサンバのリズムが聞こえる。
僕はビールを一口飲んで、それに耳を澄ました。何の曲だろう・・ええと・・・。
「おそーい!!はやくー!!」
亜依が振り返って、こっちを「いんじゃんぴょい」の時のような表情で見る。
「分かってるって!」
僕は大きな声で返事をする。

ついこの間までモーニング娘。のファンサイトもどきをやっていた僕が、加護ちゃ
んとつきあっている。未だにそれが信じられなかった。
でもこの肌に感じる日射しやビールの味や、サンバのリズムは。僕の感覚は。
・・夢だっていいや。夢だって。

僕はビールを飲み干し、気まぐれに缶を放り投げてみた。
空き缶は(おそらく)20mの放物線を描き、くずかごに収まった。

亜依の驚いた顔。
うまくいくときは、何もかもがうまくいくのかもしれない。僕は珍しく神に感謝した。
その隙僕は亜依に追いつき、抱きしめ、「たかいたかい」をした。

やめてよ、と言う亜依の顔はとても嬉しそうだった。
5回したところで腕力は尽き、僕は亜依を抱きとめて後ろに倒れ込んだ。

背中にひんやりした柔らかい地面の感触、草の匂い。
反対側には亜依の胸の感触と、亜依の髪の匂いと。鼓動、息づかい。

僕は亜依と見つめ合った。唇と唇が近づいた。
僕らは、初めてキスをした。

僕は、遠くから聴こえるサンバの曲名を思い出した。"Happy people"だ。






・・現実がこうだったらいいな、と仕事(すだれの仕分け)中思いました。