愛してるよ、君だけを
情けない。全てが駄目だ。
今日も夢にはBerryzが出てきて、楽しかった。
しかし現実には何も産み出さず、ただ堕落していく生活。
あらゆる言葉が刺となって、僕を追い立てる。刺が鋭いのか、そう感じる僕が
おかしいのか。ムッシュの「二十歳の頃」が激しく胸に痛い。憂鬱な雨は夜に
なって止む。今の僕には無言や沈黙さえも、悪意に感じられる。いや、要する
に、「ほとんど全てのもの」が悪意に感じられると言うことなのかも知れない。
良くないと思う。
残高不足の通知が来た。
その遠回しに脅迫めいた文面を見ると、苛々して引き裂いてやりたくなる。悪
いのは借りた自分なのに。フロムエーのWebなどを見るも、外に出て行くこと
を想像して少し怖くなり、閉じる。内にいても結局何もしないのに。見捨てら
れる感覚はまた強くなる。モニタには、舞波のダンスレッスン風景が映ってい
る。胸が少し熱くなる。でも、今の僕には頑張れと声をかける資格も無いのか
も知れない。そんなことを言いながら握手会には行くくせに。
「起立!礼!着席」は今日も楽しかった。
無邪気と言うことを少しも知らない無邪気さ。友理ちゃんが大人になった時の
ことを考える。その時も友理ちゃんは、今のようにほんわかとしているだろう
か。誰と知り合い、誰と別れるんだろうか。僕は死ぬまで友理ちゃんとは一片
の関わりも持つことはできないのだろうか…。僕には、独善的で勝手な、身の
丈に合わない欲望だけがいつまでも同じままで残っている。
□
泥酔してチャットでK君と話す時、僕はいつも泣いてしまう。
□
酒が進み過ぎると、全てがどうでも良くなる。
ただ音楽と妄想が浮かんでは消えて行く。ララララララ三丁目の夕陽…♪
□
ちなこの長い腕。意外にたくましい雅ちゃんの脚。そして梨沙子のバンビ
のような脚。友理ちゃんはドッヂボール企画で腫らしてしまったお顔が目
立たないようにこの格好になったのだろう、制服。舞波の制服も、とても
似合う。しみハムは野球が似合うけど、茉麻は頼まれて仮装行列に参加し
たみたい。でも、それが茉麻らしくて微笑ましい。桃子にはテニスなんか
はまったく似合わなくて、僕もやっていた卓球が似合うと思うのだけど、
そんなのは桃子のプライドが許さないだろう。あんな地味な競技なんて。
それでも卓球部だった僕は、桃子のプレイスタイルを想像してしまう。
ペンホルダーで表ラバー。
漁港の寂れた卓球場。知り合った中国人の師に叩き込まれた前陣速攻。
愛ちゃんがポイント取った後の掛け声?そんなので驚くなんてバカじゃ
ないの。どこの会場にも、もっと変な掛け声の奴いっぱいいるわよ。
「サァァァッッッッ」「一本取るよぉ」「ラッキー!」「ドンマイ!」
世間から全く離れた言葉のことを思い出す。
私が卓球を辞めてしまった今も、あんな野蛮な掛け声が響き渡っている
のだろうか、あの寂れきった市民会館には。
□
桃子の癖のある髪の毛。
男なのに負けた。球が太ももに当たってぺちっと情けない音を立てる。
「ありがとうございましたぁ!」試合後の礼を終え、真っ黒くて癖のある
髪が隣の台へと移る。練習の総当たり戦。代わりの男子部員は、悲しくな
るほど弱い。僕は桃子のサーブを、打球を受けたい。
スポーツセンターなんかに誘ってもいいんだろうか?
でも、そんなんで好きだとか思われたら、みんなに冷やかされたら…。
休憩の時に自動販売機の隣のベンチに座ると、窓から階下のプールが見える。
2階の高さから見る泳ぎはとてもゆっくりで、でも、見ているだけでも塩素
の匂いや耳の感じる気圧が伝わってくるような気がする。嗣永の水着。
どうせあいつは自分勝手にはしゃいでばっかりなんだろうけど。
でも2階のあの場所では、僕もあいつも同じ気持ちのはずだ。
寒くなって、雨ばかり降るようになってもあの場所からの風景は変わらない。
僕らは疲れていて、ポカリスエットがやたらと身体に染みる。冷水器は近くに
あるけど、僕らはどうしてもそれを買ってしまう。
嗣永と、桃子と二人だけであの場所に座る時、それはどんな風なんだろう。
嗣永は誰が好きなんだろう。好きな人なんて誰にもいないようにも見える。
僕のこの狭いこの交友関係の中では。でも、もしかすると、あいつらも平気
な顔して、本当は同じように嗣永のことを思っているのかも知れない。
そして、嗣永は誰のことが好きなんだろう。…あ、バスケ部の夏焼……。
輝いて見える女子のことは、みんな分からない。分からないから、自分の気持
ちにそぐうような音楽を聴いてみても、益々その子から離れて行くように思え
る。十四時過ぎのカゲロウ。ロッカールーム。僕は性的なものを感じる。
嗣永は性的なものを感じるだろうか。
僕は全ての女の子達の性を心の中に鏤め始める。僕は、混乱し始める。
満月が僕の姿を越えるの 円卓の大理石にくっきり映し出し
僕は月と僕らの三つの関係の 謎かけことばを考えて立っていた
「ピンク・シャドウ」 ブレッド&バター
今日も夢にはBerryzが出てきて、楽しかった。
しかし現実には何も産み出さず、ただ堕落していく生活。
あらゆる言葉が刺となって、僕を追い立てる。刺が鋭いのか、そう感じる僕が
おかしいのか。ムッシュの「二十歳の頃」が激しく胸に痛い。憂鬱な雨は夜に
なって止む。今の僕には無言や沈黙さえも、悪意に感じられる。いや、要する
に、「ほとんど全てのもの」が悪意に感じられると言うことなのかも知れない。
良くないと思う。
残高不足の通知が来た。
その遠回しに脅迫めいた文面を見ると、苛々して引き裂いてやりたくなる。悪
いのは借りた自分なのに。フロムエーのWebなどを見るも、外に出て行くこと
を想像して少し怖くなり、閉じる。内にいても結局何もしないのに。見捨てら
れる感覚はまた強くなる。モニタには、舞波のダンスレッスン風景が映ってい
る。胸が少し熱くなる。でも、今の僕には頑張れと声をかける資格も無いのか
も知れない。そんなことを言いながら握手会には行くくせに。
「起立!礼!着席」は今日も楽しかった。
無邪気と言うことを少しも知らない無邪気さ。友理ちゃんが大人になった時の
ことを考える。その時も友理ちゃんは、今のようにほんわかとしているだろう
か。誰と知り合い、誰と別れるんだろうか。僕は死ぬまで友理ちゃんとは一片
の関わりも持つことはできないのだろうか…。僕には、独善的で勝手な、身の
丈に合わない欲望だけがいつまでも同じままで残っている。
□
泥酔してチャットでK君と話す時、僕はいつも泣いてしまう。
□
酒が進み過ぎると、全てがどうでも良くなる。
ただ音楽と妄想が浮かんでは消えて行く。ララララララ三丁目の夕陽…♪
□
ちなこの長い腕。意外にたくましい雅ちゃんの脚。そして梨沙子のバンビ
のような脚。友理ちゃんはドッヂボール企画で腫らしてしまったお顔が目
立たないようにこの格好になったのだろう、制服。舞波の制服も、とても
似合う。しみハムは野球が似合うけど、茉麻は頼まれて仮装行列に参加し
たみたい。でも、それが茉麻らしくて微笑ましい。桃子にはテニスなんか
はまったく似合わなくて、僕もやっていた卓球が似合うと思うのだけど、
そんなのは桃子のプライドが許さないだろう。あんな地味な競技なんて。
それでも卓球部だった僕は、桃子のプレイスタイルを想像してしまう。
ペンホルダーで表ラバー。
漁港の寂れた卓球場。知り合った中国人の師に叩き込まれた前陣速攻。
愛ちゃんがポイント取った後の掛け声?そんなので驚くなんてバカじゃ
ないの。どこの会場にも、もっと変な掛け声の奴いっぱいいるわよ。
「サァァァッッッッ」「一本取るよぉ」「ラッキー!」「ドンマイ!」
世間から全く離れた言葉のことを思い出す。
私が卓球を辞めてしまった今も、あんな野蛮な掛け声が響き渡っている
のだろうか、あの寂れきった市民会館には。
□
桃子の癖のある髪の毛。
男なのに負けた。球が太ももに当たってぺちっと情けない音を立てる。
「ありがとうございましたぁ!」試合後の礼を終え、真っ黒くて癖のある
髪が隣の台へと移る。練習の総当たり戦。代わりの男子部員は、悲しくな
るほど弱い。僕は桃子のサーブを、打球を受けたい。
スポーツセンターなんかに誘ってもいいんだろうか?
でも、そんなんで好きだとか思われたら、みんなに冷やかされたら…。
休憩の時に自動販売機の隣のベンチに座ると、窓から階下のプールが見える。
2階の高さから見る泳ぎはとてもゆっくりで、でも、見ているだけでも塩素
の匂いや耳の感じる気圧が伝わってくるような気がする。嗣永の水着。
どうせあいつは自分勝手にはしゃいでばっかりなんだろうけど。
でも2階のあの場所では、僕もあいつも同じ気持ちのはずだ。
寒くなって、雨ばかり降るようになってもあの場所からの風景は変わらない。
僕らは疲れていて、ポカリスエットがやたらと身体に染みる。冷水器は近くに
あるけど、僕らはどうしてもそれを買ってしまう。
嗣永と、桃子と二人だけであの場所に座る時、それはどんな風なんだろう。
嗣永は誰が好きなんだろう。好きな人なんて誰にもいないようにも見える。
僕のこの狭いこの交友関係の中では。でも、もしかすると、あいつらも平気
な顔して、本当は同じように嗣永のことを思っているのかも知れない。
そして、嗣永は誰のことが好きなんだろう。…あ、バスケ部の夏焼……。
輝いて見える女子のことは、みんな分からない。分からないから、自分の気持
ちにそぐうような音楽を聴いてみても、益々その子から離れて行くように思え
る。十四時過ぎのカゲロウ。ロッカールーム。僕は性的なものを感じる。
嗣永は性的なものを感じるだろうか。
僕は全ての女の子達の性を心の中に鏤め始める。僕は、混乱し始める。
満月が僕の姿を越えるの 円卓の大理石にくっきり映し出し
僕は月と僕らの三つの関係の 謎かけことばを考えて立っていた
「ピンク・シャドウ」 ブレッド&バター