暗い人
昔みたいな無鉄砲な希望を抱くことがなくなってしまった。
曲について言えば、℃-uteはバコーン以降ほとんど乗れない。Berryzはすごく好きなんだけど、
ものすごく好きなんだけど、どこか寂しい気がする(なぜなのかが、本当にわからない)。
昔みたいに、Berryzも℃-uteも無邪気で、無条件に幸せな日々はもう戻ってこない。
どうでもいい映画やお芝居の仕事が増えていって、彼女達はそちらの方がやりがいを覚えるだろう。
反応中毒に陥った僕は今までと同じ事を繰り返すだろう。舞美さんに何も言えない日々を。
愛理に溺れ、でも愛理を死に場所にする覚悟もできない。
僕はいつからか舞美さんを今以上好きになることを恐れて、防護体勢を取るようになった。
舞美さんを見ても今までより何も感じないように。舞美さんの日記を見ても、今までより何も感じ
ないように。舞美さんに対して抱いていた疑問を増幅するように。
舞美さんを見ていると、舞美さんのことをどんどん好きになって求め過ぎてしまう。
そういう状態になると、アイドルとファンの立場などかなぐり捨てて、求める気持ちだけ暴走してしまう。
そして毎日舞美さんを失うことを想像し脅え、びくびくしている。
そんな毎日はもううんざりなんだ。
だから舞美さんを嫌いになりたいんだ。
僕は毎日辛いんだ。舞美さんが側にいることを想像して、でもそんなこと一生ないんだろうなって思って
悲しくなるんだ。僕の精神に共鳴してくれるのは音楽だけだ。舞美さんに贈ったけど届いていない音楽だけだ。
ずっと辛いから、無感覚になろうとした。
酒も飲まず、独りで適当に時間を過ごすことにも慣れた。タイムラインでは、ヲタ達が舞美さんの素晴らしさ
について語り合っている。僕もそういう風に舞美さんを見ていたかったと思う。でも僕はもうその場所には
戻れない。
僕は長い無言の年月を経てどうしようもなくねじくれてしまった。
舞美さんが素晴らしければ素晴らしいほど辛い。そのような心理状態では妄想をすることも辛い。
優しい言葉をかけてくれる舞美さんは僕の想像に過ぎない。そこに僕と舞美さんの心の交流はない。
□
僕は、全力投球する舞美さんの美しいピッチングフォームと、声援を送る観衆の姿ををぼんやりと眺めている。
でもその場所に僕はいない。何かを言おうとするけれど、言葉は中空に吸い込まれ、誰にも聞こえない。
僕は君のことが本当に好きなんだよ。