For no one
隣の部屋からまたしても聞こえてくるのは、僕の2001年青春の名盤。
嗚呼…もうこれ以上深夜に「ペイパー・ドライヴァーズ・ミュージック」を
聴かないでくれ、弟よ。…と呟いた自分はヌッキモニを終えた直後。ああ切ない。
あと58回で、娘。で1000回。
仕事の車はAMラジオしか入らないから、いつも文化放送が流れているんだ
けど、今週の推薦曲の"AS FOR ONE DAY"がやっと終わった。やっと、
苦しみから解放された。加護ちゃんのあんな科白は聴きたくない。あんな
歌詞は聴きたくない。過去と歌詞を重ね合わせてしまう自分が嫌だ。
それこそ「ペイパー・ドライヴァーズ・ミュージック」を毎日聴いていた頃の…。
崩れていく城を遠くから眺めるような感覚。
僕は崩れるのを止めることはできないし、無常に身を任せるしか無い。
つんくは一体何を言いたいんだろう。
冒頭のりかっちは、何かの終わりを象徴しているようにも見える。
…いや、5/5とか、そういうことでも無い。
□
終末を恐れて神殿に集まった僕達は、祈りを捧げる。
12人の神官は、歌う。
…彼女達はその曲を、儀式を通して、僕達に何を伝えようとするのだろう?
何を……?意味を……?
……いや、意味なんて無いのかも知れない。ただ、彼女達は風景を見せよう
としているだけなのかも知れない。湖に崩れていく城を。その、悲しい光景を。
世界の一つの終わり方を。