私が欲しいものすべて
ああ、俺は誰と結婚すれば良いのかなぁ…。
今、側にいて欲しいのはよっすぃーだけど、例えば、
よっすぃーと結婚したあと、俺はよっすぃーの、妻の
友達として普通に娘。達に会うだろう。
加護ちゃんと会うだろう。
もしそこで加護ちゃんを好きになってしまったら、どう
しよう。それで、加護ちゃんも俺のことを好きになって
しまったらどうしよう。よっすぃーになんて言い訳しよ
う。でも、多分その時俺はよっすぃーのことも好きだろ
うし、別れたくないだろう。
でも、加護ちゃんのことも諦められないだろう。
いや、それだけじゃ済まない。まりっぺ、りかっち、辻
ちゃん、なっち、ごっちん、圭織、圭ちゃん…多分、俺
は全員好きになってしまうだろう。
そして、そして……うわぁ、そんなことになったら……!!
一夫多妻制の国に亡命して……いや……。
あぁ…やっぱハロプロ以外無人島だよな……。
男は俺一人しか居ないから、何の問題も……いや、レズ?
いや、そんな心配をすることはない。というか、気の合う
ヲタ友達を呼んで、毎日パーティーして過ごせたら良いな
ぁ…。で、帰りは泥酔してまりっぺと肩を寄せ合って帰り
たいな……で、加護ちゃんが目に涙を溜めて、それを見て
たりして…。でも俺はそのまま気づかないで、まりっぺと
部屋でしっぽりと……。ああ、ごめんごめんごめんごめん!
で、ある日の夕暮れ、一人で釣りから帰ろうとすると、
加護ちゃんに呼び止められて。で、泣かれて。
抱きしめたりして。人間性が崩壊するのが怖くて、ぎこち
なく抱きしめて。加護ちゃんは柔らかくて、いい匂いがして。
でも、やっぱり子供で理性が邪魔をして、頭を撫でて、諭す
だけで。で、家に帰って一人で……。
□
あぁそうだよなぁ…。ハロプロ以外無人島に行っても俺が
変わる訳じゃないんだよな……。女の子とうまく話せない
のなんて絶対治る訳がないし、むしろ変人扱いされて疎ま
れるかも知れないんだ…。力仕事ばかりさせられる奴隷み
たいになったりして…。ダニエルに鞭で叩かれたりして。
「ホゥラ!ハヤクハコバナイトメシガナクナルヨ!!」
ピシィッッッッ!!!!「ひぃぃぃっっっ!!!」
そんな風に扱われてる時、加護ちゃんは俺のことをどんな
目で見るんだろう。嘲笑するだろうか。蔑むだろうか?
いや、それだけは、そんなことは無いような気がする。
加護ちゃんは何か俺にかけたい言葉があるけど、それを
言えないような感じで、あの八の字眉毛でこっちを見てるんだ。
で、いつか飯もろくに食わせてもらえない俺に、隠れて
おにぎりを持ってきてくれそうな気がする。
「あ、あの、良かったら食べて……ください」
「………あ、ありがとう」
加護ちゃんはぱたぱたと恥ずかしそうに走っていってし
まって、俺はとにかく腹が減って死にそうだったから、
それにむしゃぶりついて。
食った後、加護ちゃんのことを考えて。
地獄のような奴隷生活の中で、あんなに可愛い子にこんなに
優しくされたのは初めての経験で。
加護ちゃんは、なんで俺に優しくしてくれたんだろう…。
自らの危険も省みずに。こんなところを藤本にでも見られ
ようものなら、加護ちゃんでも攻撃されかねない…。
加護ちゃん……。
□
加護ちゃんは、それからも食事を持ってきてくれて、三回目位
から、話すようになって。なんで親切にしてくれるのかって
ことは聞かないで、外が今どんな状態なのかとか(僕はずっと
トンネルを掘らされている)、みんな元気なのかとか、僕をこん
な身分に追いやったあの鬼のような藤本は今どうしているのか
とか、割と現実的な、自分の身に関わることをまず聞いてみた。
話を整理すると、藤本はどこからか大量のヲタを連れてきて、
僕と同じように奴隷、軍隊としてこき使っているらしい。
そして、藤本のあまりの暴虐にメンバー達も遂に立ち上がった。
ごっちん達、反藤本レジスタンスは島にいくつかの地下アジト
を作り、ゲリラ活動を繰り返しているらしい(手榴弾を投げるごっちん)。
…そもそも、ヲタは何処からやってきたんだ?
ここは外界から隔離された場所の筈……。
やはり藤本は、外界とこちらの世界を行き来する方法を見つけた
に違いない。そして、それは俺がこうしてここに隔離された事と
何か関係がある……のだろうか。…俺が何を知ってるって言うんだ?
加護ちゃんに話を聞くと、現在の所ごっちんレジスタンスには
連絡が取れないらしい。藤本に不満を持っている者は沢山居るが、
報復を恐れて誰も動けない状態だと言う。
俺が…俺がやってやるぅぅッッッ!!!
□
眠くなったので、寝ます。
これが僕(25歳無職)の包み隠す所のない心象風景。てへっ。
本当に、泣きたくなる程どうしようもないですね。