舞美さんを観ることがこれほどまでにつらいことだとは思わなかった。
舞美さんはその舞台で、いつも以上に一生懸命で、「らん」になりきり、歌い、笑い、泣き、怒っていた。
「らん」は演劇としては素晴らしく、感動さえした。クラリネット(サックス)、ピアノ、三味線の演奏は
とても良かったし、なぜか僕はそれを聴いていて、スリム・リッチー達が演奏する「チュニジアの夜」を
思い出した。アクションは迫力に満ち、たぶん殺陣の練習でついただろう舞美さんのすねのあざを見て、
僕は一生懸命な舞美さんを愛しく思った。
ただの偏狭なキッズヲタでしかない僕にだって舞美さんの「タレント」としての成長を嬉しく思う気持ちは
ある。舞美さんは進学を諦めこの道で生きていくことを決めたのだし、キャリアを積む上で当然やらなけれ
ばいけない仕事だと思う。僕は一生懸命な舞美さんを応援したいと思う。
だけど、理屈じゃなくて、その「一生懸命な舞美さん」を観ていることが今回はたまらなく辛かった。
舞美さんはその人を本気で愛していた。現実ではなく、ただの芝居の上の話のことなのだけど、その、
舞美さんが「誰かを愛していること」や、酷い言葉を投げつけられることに対して、僕はどうしても我慢が
できなかった。本当は、何回かそのまま席を立って帰ってしまいたくなった。
でも、僕は最後までそれを見届けた。
舞美さんは、10年前に出会ったその男を「ずっと好きだった」と言った。
僕は6年前に初めて舞美さんに会った時のことを思い出した。その瞬間からではないけれど、ある時期から
間違いなく舞美さんが僕の一番好きな人になった。僕は数年間の、舞美さんへの想いのようなものを思い
出してみた。それだけで泣きそうになった。そして、舞美さんがその舞台で「その男を10年間愛し続けた」
ことを思うと、発狂してその場で自殺したくなった。本当に本当に一生懸命な舞美さんは、その男を本気で
愛したのだと思う。僕にはそれが本当に、本当に辛かった。
泥酔して帰って、発狂ツイートを連投した。
「アイドル」とは一体何なのだろうと思った。あるいは僕の愛し方が間違っているのかも知れない。
僕は何があろうと彼女たちを「応援」し続けるべきなのかも知れない。でも、僕は機械ではない。
いや、でも機械なのかも知れない。
立場の違いを忘れて勝手に好きになり、錯覚し、立場以上のことを舞美さんに求めてしまう。
そして、壊れる。僕は舞美さんを愛する狂った機械だ。そして、人間が機械を愛することはない。
テーマ : ℃-ute
ジャンル : アイドル・芸能
タグ : ℃-uteハロプロキッズ舞美さん矢島舞美